GREETING

過去の会長挨拶

2019年度~2020年度 会長挨拶

2019年6月23日の日本看護系学会協議会社員総会において理事、監事が承認され、新しい理事会がスタートしました。国内外の健康課題解決に向けて、看護学分野の英知を結集できるよう、役員一同、一生懸命に取り組んで参りますのでご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 本学会協議会の目的は、看護学の学術的発展をめざす看護系学会の相互交流と連携をはかり、看護学研究の成果を社会に還元する学会活動を支援することであり、また看護学学術団体の立場から、人々の健康と生活の質の向上のため国や社会に向かって必要な提言を行い、国内外の学術組織との相互協力を推進していこうとするものです。現在、日本の看護界を代表する学術的な連合体として、47学会が連携・協働し活発な学術活動を推進しています。

 少子高齢社会・人口減少社会の進展、自然環境や社会環境の激変を実感する今日、本学会協議会の使命はますます大きなものになっています。ゲノムサイエンス・分子生物学などの生命科学の発展、AIやIoTなどの先進科学技術の開発により医療は画期的な発展を遂げています。一方で、先進的医療だけでは解決できない、人々の暮らしや生き方に深くかかわる健康課題が山積しているのも事実です。看護学は、<いのち>をcure(救う、助ける、治す、キュア)する 行為と<いのち>をcare(守る、癒す、回復する、育む、ケア)する行為を融合することにより心身の健康を向上させ、日常の営みを意義あるものとできるよう専門的知識・技術を発展させてきました1)。今後、多様性や複雑性を包含する健康課題の解決をめざし看護学のさらなる発展・深化が求められています。そのために、本学会協議会の活動の中核である<社員相互の情報交換>や<日本学術会議および国内外の学術組織との交流・相互協力>の推進が不可欠です。これまでに、「災害における看護」「看護ケアガイドライン開発」「医療安全」「高度実践看護」「公的研究費拡大推進」など、看護学分野の共通課題について情報交換や協議を進めており、社会への成果の還元に結びつく活動の展開が期待されています。これらの事業に加え、新たな事業として「学会誌の質向上に向けた倫理推進」「将来構想検討」などを推進します。いずれの事業も看護系学会のみならず他の学問領域との連携・協働を図る中でよりダイナミックな成果へとつなげたいものです。

 本学会協議会は、2001年、第18期の日本学術会議で看護学研究連絡委員会の発足が認められたことを機に設立されて以来、日本学術会議との強固な連携を図りながら看護学の専門性の確立をめざした活動を推進しています。日本学術会議では、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」(マスタープラン)の策定を進めています。マスタープランは、学術的意義の高い大型研究計画を網羅し体系化することにより、学術の発展に寄与するとともに、学術の方向性に重要な役割を果たす我が国の大型研究計画のあり方について一定の指針を与えることを目的とするものです。日本学術会議の看護学分科会との連携のもと、本学会協議会において社員学会の意見が集約され(2019年3月10日説明・意見交換会)、他の関連領域の分科会等との連携を経て、第24期のマスタープラン(2020)の提案に至ったことは、大きな成果であり、看護学の発展に向けたマイルストーンになるものと思います(意見交換会のPDF資料を添付します)。

 ワクワクする活動の継続には、安定した強固な組織づくりが必須です。社員学会よりの大切な会費をより効果的に効率的に執行できるよう、理事会を中心に本学会協議会のガバナンスをより一層高めていくための弛まぬ努力を行って参ります。

 会員の皆様とともに、看護学の発展と看護の価値の普及、人々の健康と安寧に寄与できるような活動をめざし、なお一層社会のニーズに応え、未来を拓く組織として発展していきたいと願っております。どうぞ皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

  • 1)日本学術会議 提言「ケアの時代を先導する若手看護学研究者の育成」平成26年(2014年)日本学術会議 健康・生活科学委員会看護学分科会
2019年度~2020年度 会長
小松 浩子

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